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読書感想文、数学の問題集、英語のワークブック、理科の自由研究に漢字の書き取り等々と目白押しである。
夏休み前最後の美術の授業。アトリエの最後方の席に鎮座しながら、私はこれまででいったい幾つの夏休みの宿題が出されたのかを整理していた。
最初は頭で数えるだけのつもりだったが、途中から正確な数が気になりだし、授業で配布されたプリントの裏面にそれらを列挙して行った。
簡易なリストになったそのプリントを眺め、合計でいくつの宿題があるかを数えていると、
「みんなには1学期に学んだ水彩で、郷土の風景を描いてもらいます」
私の所属する美術部の顧問でもある斎藤先生は、ごく当然のようにそう発表した。
斎藤弘先生は見た目よりも若い先生だ。初めて彼を見たとき、私は彼のことを30代半ばかなと想像していたが、実際はその想像よりも5歳以上若かった。おそらくたくましい髭がそのような印象を与えているのだろう。芸術科目の先生にありがちな変わった性格をしていて、私は勝手にB型だろうなと想像していたが、そちらの想像はピタリと当たっていた。
斎藤先生は今しがた私たちに課したその宿題に対し、1つだけ条件を付け加えた。
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