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彼女は高岡彩。私の1番の友達だ。小学6年の頃からの短い付き合いだが、彼女の存在はすでに私の心のスペースの大きな割合を占めていた。
学級委員を務める彼女は度々その特権を使用して、学年集会や全校集会の場で私の隣にやってくるのだ。
「待ってたよ」
私は屈託なくそう返した。
すると彩はわざとらしく驚いた顔を浮かべた。
「あれ? なんか今日は素直だね」
「今日は機嫌がいいのです」
私は目を閉じ、すまし顔でそう言った。
彩はしばらく思案気な顔でこっちを見つめていたが、やがて目を細めると、
「もしかして、夏休みが近いから?」
と聞いてきた。
私は似合わないすまし顔をやめて、頬を緩めた。
「あー楽しみだなー、夏休み」
「夏休みの宿題はたんまり出てるけどね」
彩がいたずらっぽい調子で水を差してくる。
「宿題はそこまで嫌じゃないな。私はそもそも勉強嫌いじゃないし」
「シャロは嫌いなのは勉強じゃなく学校だもんね。なにしろシャロは友達が少な――んん!」
私は彩の口を両手で塞いだ。いくら友達でも言っていいことと悪いことがある。
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