ワールド

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自分の小さな欲望が、無数の誰かの欲望とあわさって、大きな濁流となった。 その濁流に飲み込まれた犠牲者が、彼らなのだろう。 同年代なのに、見るもの/見られるもの、欲望するもの/されるもの、消費するもの/されるものへと人は分かれていた。 前者が私で、後者が彼らだ。 たった一枚のテレビ画面を隔てて、残酷な世界の構図が浮かび上がってきた。 あまりの衝撃に、暫く茫然とした後、私はディスクを取り出した。 ディスクの表面に書かれていた文字。 それは、ワールドだった。
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