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ずっと眠っていたのに、ルーナは風呂のことも知っているし、スライムの言葉も理解できる。だが疑問は浮かばなかった。それが自然だと思っていたからだ。
ルーナはスライムに指示されたように風呂に身体をしずめ、身体についたねばねばとした溶液を洗い落とした。身体を拭くと、スライムが彼女のために用意したと言う服をもってあらわれた。
簡素な下着。鮮やかなオレンジ色の上着。黒いタイツ。腰をしめるための革のベルト。やわらかで、ふかい緑色のフードつきのマント。膝もとまで覆う革靴。
それらをスライムは手際よく着付けてくれる。
最後に渡されたのはしなやかな革の鞭であった。
顔に疑問が出たのだろう。スライムはしかめつらしく答えた。
「外はいろいろな意味で危険がまっております。その鞭は魔法のちからがこめられた武器であり、さまざまな用途に使える道具でもあります。どうぞお気をつけください」
鞭を腰のベルトに結わえると、ルーナの外出のしたくは完成した。
「それからこれを持っていってください」
スライムはルーナに肩からさげるカバンを手渡した。
中をのぞくと、何日間ぶんの食料や、ずしりと重い金袋がはいっている。
「食料は大事につかえば十日はもつでしょう。十日もあれば、近くの人里に出ますから、そこで宿に停まるか、食料を補給なさってください。そのための金を用意しております」
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