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しばらく森を歩く。
そうとう深い森なのか、見上げても葉陰ごしに日の光がちらちらと瞬いているくらいで、薄暗い。それでも歩くうち、森の切れ目が見えてきた。
突然、という感じでいきなりカイルは森を抜けていた。
はっとするほどの解放感に、カイルはしばしぼう然となっていた。
ああ自由だ、という思い。
目の前に広がる草原。
なだらかな丘陵がいくつも波のように盛り上がり、その向こうにぽかんと青空がひろがっている。千切れ雲がひとつ、ふたつゆっくりと丘をこえて移動していた。
ふっ、と風がカイルの髪の毛をなでる。
カイルは肩にとまったプルプルを眺めた。
プルプルも外を見るのがはじめてなのか、ふたつの目玉を飛び出させんばかりにしてきょろきょろとあたりを見回している。興奮で、全身がぷるぷると震えていた。
ゆっくりと歩き出したカイルは、目の前に道があるのに気づいた。
踏み分け道が一本、草原を突っ切っている。
迷うことなく、カイルはその道をたどり始めた。
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