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月明かりの中、カイルはもくもくと歩みをとめず旅を続ける。
頭の中には、ルーナという女の子のことでいっぱいだ。
同じ洞窟の、別々の箇所で眠っていた二人。
いったいぼくらはどういう関係なのだろう?
ルーナ……。
そっと呼びかけてみる。
その途端、悲哀がするどく胸にこみ上げてきた。
どういうわけか、その名前を聞いた瞬間、どうしてもその相手に会わなければならないという強い思いに支配されたのである。プルプルがその名前をうっかり漏らした瞬間、ただならない気持ちが、カイルに襲い掛かってきた。
カイルは地面をついてきている自分の影を見つめた。
影に尋ねても、答えは返ってこない。
そのうち、背後からからからという乾いた音が近づいてくる。
ぱかぱかぱか……という規則正しい音がそれにかぶさっている。
ふりむくと、ちいさな明かりが左右に揺れながら近づいてきた。
なんだろう。
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