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二人がどこに消えてしまったのかわからない。
彼女たちは薄いベールの向こう側にいってしまったのか、それとももっと違うところなのか。
駐車場に残された車と、彼女の机に残された鞄は噂を呼んでいたようだけど、私にはあまり詳しくは聞こえてこない。
そもそも私にそんな話をふってくる人がいない。二人を最後に目撃した人間だというのに。
加藤さんは翌日から出勤してきて、そして異動していった。
後任の人は異動してきて一週間目には暗い色をしたカエルを背負いはじめていたけど、最近は慣れてきたようだ。カエルの色が明るく薄れてきている。
毛むくじゃらは次の日には元のサイズに戻っていた。
いったい何のために大きくなっていたのか結局わからないまま。
もう通りすがりの異形を食ったりもせず、今日は素早い後転を繰り返しながら私を先導するような素振りをしている。
どっかにつれていかれたいか?
ひいおじいさんは言っていた。
あいつらにはあいつらのルールっちゅうもんがある、とも。
まあ、きっとそういうようなものなのだろう。
「ケム、こっち」
曲がる予定の角を通り過ぎて転がっていくあいつに小さくつぶやく。
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