プロローグ

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「誓います」 緊張のためか、急に声の出し方を忘れたような錯覚に陥り、喉を絞ったような声になってしまった。 その瞬間、心に強 く沸き上がったのは、私が感じるべきもの──本当ならこの場に立っているはずだった人への思慕よりも、隣の彼に対する罪悪感だった。 彼は私の誓いを身じろぎもせず聞いていた。 きっと彼は私を恨んでいるだろう。 でも、私たち二人のどちらが悪いわけでもない。 この結婚は不可避だったのだから。 いや、本当にそうだろうか? もっと以前に私さえNOと言えば、この結婚を止められたのかもしれない。 事の発端から今までのことが次々と頭に浮かび、ここでもあそこでも言えたのではないかと、式の真っ最中だというのに思考があちらこちらに彷徨った。
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