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叔父の遺影をしばらく見つめている。
悲しさなのか、苦しさなのか、後悔なのか、
何かを押し殺して耐えている様は、美しい。
ありがとうございました、と会釈すると
― こちらこそ、こんな格好でお焼香させて頂きありがとうございました。
― とんでもありません。あの、聖也さん、叔父とはどのような・・・。
言い終わる前にその人は答えた。
― 昔の、・・・ええ、学生時代の知り合いです。
きっぱりとした語気の奥に、
踏み込んではいけない真実があるのだろう。
潔さを感じる。
苦しくて辛くて、どれもが本当で、と
真っすぐな瞳が、それ以上の詮索をを拒否する。
― あの、お送りします。
立ち上がったその人と男の子の背中に続いて、私も外に出た。
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