第三章 ~|天災《・・》は冒険に旅立つ~

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僕は、初めて寮の中を探索していた。 そう、2年生の住む学校寮の中を。 フラグ(・・・)の塊の中を。 でも、ここが僕の住む場所ということは伝えられているので、部屋の番号も聞いている。 学校の方に出席しているからなのか、それともまだ起きていないからなのか、静かな寮内を素通りして自室に向かう。 でも、そんな事を全く気にすることもなく、フラグ回収は滞りなく進んでいるようだ。 僕は、何の脈略も無く2年生の女子たちに囲まれていた。それはもう突然に。 「…あんた、見ない顔ね。転校生?」 どうやら、全員で食事をとっていたようである。 一気に帰ってきたからね。皆。 「あ…えっと、ついさっき試験が終わった受験生なんです。」 「は?じゃあ何でここにいるのよ。ここは2年生の寮なのよ?新入生は1年生の寮って決まってるでしょ?ほら出てって。」 そう言って、道を開けてくれる在校生。 でも、明らかに目的とは逆方向だ。 「えっと、そっちには部屋の空きがないそうだったので、僕だけここにの寮を利用してほしいとのことで鍵も貰ってあります。 なので、通してもらえませんか?」 僕は面を向かって言いながら、鍵を取り出して見せる。そこには、´2年生寮 229号※´と書かれていた。最後の※になにか意味はあるのかと疑問になったが、あえて気にしない。 だけど、そんな勝ち気な少女は、そこを通す気がないように立ち尽くして、不機嫌そうな顔をしていた。 どうやらこの態度がとっても気に食わないようだ。
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