第三章 ~|天災《・・》は冒険に旅立つ~

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僕は心底、下らないと感じていた。 ここまで来ると、新人いびりとなんら変わりない。 ただの虐めだ。 既に面倒になった僕は、この人たちを無視して突き進むことにした。そう、僕にはこんな壁、どうってことはない。 僕は何も言わずに、音もなく前に歩き出す。 「なっ、どこに行こうとして…」 その瞬間、足に軽く強化魔法を展開する。 遅くなった世界で、僕は彼女らが立っている隙間を縫うように(くぐ)り抜ける。 思考加速もしているので、彼女らの目線が僕の動きを追えてないのは明確に理解できた。 そして最後。強化魔法を全身から解き、音もなく立ち去る。 「…え。ええっ!?どこに行ったのよ!犯罪者!…あ、いた!」 立ち去る僕を遠目で発見したようだ。 実に面倒な見つかり方だよね、これ。 「犯罪者の貴女には、この冒険者ランク3の私が鉄槌を下します。 ´火よ焔よ熱き心よ!ここに在りし罪、ここに討ち滅ぼさん。断罪の火焔(ジャッチメントフレイム)!!´」 構えてもいない僕に向かって、彼女の全力と思われる炎が放たれた。 予想以上に迫力のあるその魔法は、僕を狙って…あれ…逸れてない? 唐突に気が付いた。
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