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巨大な炎の波は、そのまま僕を余裕で掠めて…、横の壁に、大きな音をたてて当たった。
「あっ…!」
どこからか、やっちゃった感を感じる声が聞こえた。
「ッッツマリナ・トラシュラス!!!
んまぁたぁお前かぁぁああああ!」
「ひいぃぃぃぃぃぃ!違うんですうぅぅ!!」
遠くから女性らしき人が全力疾走してきて、そこにいた人は蜘蛛の子を散らすように解散していった。
主犯格の彼女を除いて。
とりあえず、チリチリと少しずつ壁を焦がしている残り火は僕が消すことにした。
僕が軽く手を振ると、それに合わせて辺りに空気の波が起こる。空気中の酸素を偏らせて、酸素の無い波を起こす。それが残り火に当たると、何事もなかったかのように急に炎が消え去った。
…―暫くして。
「…あー君が例の校長推薦のガルシア君だったかな。よろしく。私はここの寮長を任されているクレアだ。よろしく頼むよ。」
少し男寄りの挨拶をする寮長。
そしてその横には、先程の放火魔の犯人。彼女がぷるぷると震えていた。
とりあえず、僕の容疑は晴れた訳だ。良かった良かった。
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