第三章 ~|天災《・・》は冒険に旅立つ~

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と、言うわけで、僕は町に出向いていた。 それも賑やかな。とても賑やかで、調子に乗ると絶対迷子になる。そんなレベル。 まあ、僕は魔力を読み取ってるからそんなヘマはしないし、迷子になることはないんだけどね。 それでも、過保護なお節介をやいている人がそこにはいた。 「ほら!離れたら迷子になるわよ!」 そう。某壁焼きの犯人だ。 僕は、そんな過保護さんに手をしっかりと握られながら、人混みの中を縫うように引っ張り回されていた。 まあ、人混みは彼女を避けるように動いてくれるから、僕としては楽なのであえて何も言わないけど。 ほんの少しだけ恥ずかしさがあるとだけ言っておこう。 だってこれでも精神年齢はそれなりだからね?子供扱いされるとすこし恥ずかしいのだ。 ただ助かっている点としては、恥ずかしさがほんの少しだということだろうか。 精神は体に依ると本にも書いてあったから、多分それなんだと思うけど。 さて、なんでこんなにもここが混みまくっているかというと、どうやら近いうちに何やら大きなイベントがこの場所近くで行われるため、回りの店が一時的に休業するらしい。 僕たちにとって少し迷惑にも感じるけど、店にとってイベントを邪魔してしまう通行人の存在もまた、開催側からしたら迷惑だよね。ていうか、この広い通りそのものが使えなくなってしまうのだから店を開いてもしょうがないと言えるが。 もちろん対抗策として、使われることのない通りに仮の売店が出店されるそうだ。 ただ、そちらは俗に言うお祭り価格。割高だそうだ。 だから今買わないと、しばらくはこの値段にありつくこともないということで、揃って買い物。その結果がこれである。と、人混みへ果敢に突撃している彼女に説明を受けた。 こう見えて、優しい性格なんだよね。うん。
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