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さて、人混みに突撃している合間に、あたりの景色はどんどん変化していった。
始めは本当に商店街の場所だったのに、そのうち人混みが流れるような場所にたどり着いていた。恐らく、大きな通りにでも出たのかもしれない。
さっきほどの窮屈さは無くなっていた。それでも十分に人は多かったけどね。
学園から少しの間|馬車≪・・≫に乗りこんでから早数分で、この場所に辿り着いた。
本音のところ、この景色は朝素通りしてちらっと見ていたわけで、結構気になっていた。
にしても、騒がし過ぎるから何も観光だなんてものが出来ないのは少し悲しい気分になるけどね。
「そう言えばさ、忘れてたんだけど。」
唐突に歩く速度を落として話しかけてきた壁焦がしの彼女。
…そろそろ名前で呼んでかないと、間違えて言ってしまいそうだから名前で覚えないとね。
「あんたの武器って、なんでそんなに細身なの?」
繋ぎの話題と言うことだろうか。
チラッチラッとこっちに振り返りながら聞いてきた。僕はなんとなく優しい気持ちになりながら答える。
「これ、刀っていうものなの。切れ味特化の武器。だから軽く作られてる僕のオリジナル。」
「へー…。冒険者登録には、武器種の登録もいるから、言ったほうがいい…かなって思って…。」
マリナの優しさが滲み出る瞬間だった。
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