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西の空は美しいオレンジのグラデーションを演出している。
でも私は今、夕焼けを見ている余裕なんてない。
大好きな彼に気持ちを伝えようとしてるから――。
放課後の校庭。その片隅で、彼の部活が終わるのを待っていた。
私の隣に立つ桜は、私の気持ちなどどこ吹く風。悠々と聳え立っている。風に吹かれて舞い散る桜の花びらが、ヒラヒラと私の鼻をくすぐった。
思い返せば、君に出逢ってからちょうど一年が過ぎた。数ある高校の中で、同じ学校の、同じクラスになれた奇跡。偶然。
君の笑顔に癒され、共に笑い、時に喧嘩もしたけれど、ずっと一緒に居たいと願った。
そう。来年も再来年も、十年後も、ずっと。
友達なんかで終わりたくない。
「待たせて悪いな。話があるんだよな? 何だった?」
何も知らない彼は、いつもの調子で聞いてくる。
「うん。あの……」
ヤバい。いざとなると言葉が出てこないよ。
「ん?」
首を傾げる彼。
その時、南から暖かい風が吹いた。
「私、貴方の事が大好きです」
優しい南風に乗せて、私は想いを告げた。
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