誕生日前日、まさかの妄想が確信に変わる

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 そして、先輩が金を取り返すと言い出して、これは危険やと思い、話を逸らす。 「編集者さんを退職させましょう。お金は編集者さんの安全を買ったと思って諦めましょう」  正直、もしこの件で詐欺会社が摘発されると、責任は当然、編集者さんに。  訴えたのは僕だと分かる。  すでに詐欺会社には住所を知られている。  報復が怖い。  無事、編集者さんも退職し、転職てきたとの事で一件落着。 *  そして僕は、股関節を人工関節にする手術のため、入院。  先輩が「お見舞いに行くけど、土日って面会できるん?」と尋ねられ、「術後の経過が良く、週末には退院します」と早期退院した。  勿論、家でも毎日リハビリを続け、脱臼すると再手術という危険と隣合わせの中、日常生活に戻った。  とにかく、脱臼する可能性のある姿勢にならない事、転倒に細心の注意が必要やけど、半年ほどで健常者として歩けるようになるらしい。  しかし、脱臼による再手術のリスクは消えないとの事‥‥。  先輩から電話。 「お見舞い代わりに会いに行くわ」  心配してくれたんやぁ。  と、無邪気に喜んだのも束の間、最悪の事実を知る事になる。 *  しばし世間話の後、 「引っ越しで36万、ブランド物のスーツ16万かかって金欠やねん。1万貸してくれん?」  なんや、また金目的か‥‥。 「グループで、お金の貸し借りは禁止ですよ」 「それは知っとる。グループ抜きで個人的に貸してもらいたいねん」  無計画に金を使って、ルール違反までして金の無心か‥‥ん、今、貸し借り禁止って知っとる言うたぞ?  って事は、最初から僕が金の貸し借り禁止なんを知らん事につけ込んで金借りに来たんか。  なんやガッカリやなぁ。
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