誕生日前日、まさかの妄想が確信に変わる

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 そう言えば、編集者だけやなくて先輩も社名が思い出せんとか、編集者にちゃんと伝えるように言うとくわとか‥‥社名を隠してた。  社名が分からん所に金を振り込んだというのもおかしい。  詐欺やろうと思いつつ、僅かな期待で、編集者とは連絡を取ってた。  その中で、いくつか質問した。 「初回発行部数は?」 「100部です」  100部って出版って言わんやろ、同人誌ちゃうんやから。  嘘でも1000部以上は言わんと怪しい。  この人は出版社の人間やない。 「ロイヤリティー、印税は?」 「全部、貴方にあげます」  有り得ん。  出版社が3万しか儲からない事に、本屋へ営業に行って、売り込んでくれるなんておかしい。  そういや編集者と作家として直接会うって話も流れてるな。 「イラストレーターは?」 「今、営業が当たってます」  そもそもイラストレーターも決まってない、表紙のない小説をすでに印刷している事はおかしすぎる。  もしかして、この計画を立てたのは、出版業界を全く知らん人間か?  となると、答えは一つに収束する。  詐欺の犯人は‥‥。
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