誕生日前日、まさかの妄想が確信に変わる

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 翌朝、予定通り、昨日と桜の木の下へと向かった。  昨夜の帰路では、幻をみた。  この件とは関係ないけど。  今日も満開の桜を一人で見上げる。  誕生祝いのメールは親父からだけという寂しい誕生日。  気づいたことがある。  僕への相談無く、勝手に先輩が払った3万。  詐欺に引っかかったのは先輩やんか。  その3万から2万返し、3500円の貸しをチャラにした。  これやと恐喝やん。  やから、やはりこれは先輩に返してもらう必要がある。  詐欺を企てたのが先輩であれば詐欺罪。  詐欺会社が実際に存在したとしても、恐喝罪。  あと傷害罪‥‥怪我はしてへんから暴行罪か?  これはリーダーが言質を取ったはずや。  僕は詐欺被害者やない。  よし、この線で攻めよう。 「僕は詐欺の被害者ではないです。僕の承諾を得ず3万支払って詐欺に遭ったのは先輩です。お貸しした23500円を返して貰えれば、警察に被害届は出しません。お金はブランドスーツを売って作って下さい。詐欺の被害届を出すのは先輩です」  これが僕に出来る先輩への最後の恩返し。  この言葉が通じるような人やないけど‥‥な。  ここはリーダーに伝言してもらうか。  そうしよう。  早速、リーダーにメールした。  あ、しまった。  警察は民事不介入やから、刑事事件に当たるのは恐喝と暴行だけか。
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