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「俺も聞いたぞ。でも俺が聞いたのは、鬼みたいにゴツい奴でいきなり首根っこ掴まれて『鈴峰和真を出せ』って凄まれたってやつだけど」
「俺の女は、フラフラしてた人がいたから声掛けたらいきなり首が伸びて『鈴峰和真を……見かけませんでしたか……』って地縛霊のごとく呟いてたからそっと離れて近くの神社でえんがちょしてきたって言ってたな」
みんながその時の状況を声音と身振りで再現しながら自分たちの持っている情報を出し合うと、一呼吸置いて一斉に俺を見つめる。
「「「お前、なんかに取り憑かれてんのか?」」」
俺を気遣うこいつら、いい奴らだなぁなんて呑気に感動していると、ふいに手元に影が落ちた。
「すーずーみーねーかぁずまああ、みぃぃぃつけたぁー」
おどろおどろしい声が背後からかかり、冷や汗が頬を伝う。恐る恐る顔を上げるとコンビニの明かりでちょうど逆光になったそこに般若のような形相が浮かび上がっている。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
仲間たちは悲鳴を上げると文字通り一目散に散っていった。俺も逃げようと立ち上がったが、それより一瞬早く般若がガッと音がしそうなほど肩を強く掴み、行く手を阻む。
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