プロローグ

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 教室の窓から見える景色には薄いピンクの花びらをつけた満開の桜。窓から入るそよそよとした風は私の気持ちを心地好くさせた。 「瑠花(るか)、早くしないと待ってるよ」  親友の紗奈(さな)に声をかけられて、不意に我に返る。  今日は中学生最後の卒業式。二年でクラスが一緒になってからずっと片思いしている織田(おだ)くんとのお別れの日でもある。  卒業までに告白するという私の目標は、今この時間を逃したらおじゃんになるのである。そんな訳で私は今日、校内で一番大きな桜の木の下に織田くんを呼び出していた。 「ヤバッ。もうみんな居ないじゃん」  どれだけボーッとしていたのか、教室には私と紗奈の二人だけになっていた。 「何やってんのよ、あんたは。本当トロいわね」  紗奈は呆れたように溜め息をつく。 「でも……。本当どうしよ。私に告白なんて無理だよー。そもそも断られるの分かってて告る勇気とかなんて私にはない」  半べそになりかけている私に、紗奈はポンポンッと頭を叩いて落ち着かせようとしてくれた。
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