プロローグ

6/7
前へ
/7ページ
次へ
 あまりの驚きに返事を出来ずにいると、ばつが悪そうに織田くんが続けた。 「やっぱ無理だよな。瀬崎みたいな可愛い子に、俺が釣り合うわけねえよな」  なんとなく寂しそうな表情をする織田くん。 「そんな……、そんなことないよ!」  私は思わず叫んでしまう。  片思いで告白しようと思ってた相手にまさか告られるとは思わない。でも、現実に織田くんは私のことを好きと言ってくれた。それが私に勇気をくれる。 「私も織田くんのこと好きで……。あの……、ぜひお願いします」  言ってしまった。ただ、告白じゃなくて織田くんが好きって分かってからのカミングアウトだから、そう大したことでもないんだけど。 「マジで? やった!」  織田くんは嬉しそうにはしゃいでいる。 「んで……、瀬崎の用事は何だったの?」  にこにことしながら聞いてきた。 「その……、告白しようと思ってた」  その言葉に、織田くんは一瞬驚いたような顔をしたが、不意にフッと笑って私を抱き寄せる。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加