てるてる坊主

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「この(まえ)ナンパした(おんな)にさ~。」 (ひろし)のナンパの自慢話(じまんばなし)がまた(はじ)まった。 「(おれ)雷神愚(らいじんぐ)のメンバーだって()ったらさ~、  すぐ(また)(ひら)いて()らせてくれたぜ~。」 (おれ)(ひろし)(すこ)(うし)ろを(ある)いてる。 「だから(とおる)もチームの名前(なまえ)()せば、  (おんな)なんか()ぐに出来(でき)るって!」 「(おれ)、そう()うのにチーム()すの(きら)いだ。」 「(かて)え~な~、(とおる)、・・・ウワアッ!」 (はな)しながら()()いた(ひろし)は、 (おれ)(うし)ろを()途端(とたん)(なに)かに(おどろ)いたように(さけ)ぶ。 「どした?(ひろし)。」 「(なん)だ・・・、人間(にんげん)じゃんか。」 (おれ)(うし)ろを()(かえ)って()た。 (なん)だアレ? てるてる坊主(ぼうず)? ポンチョの雨合羽(あまがっぱ)(あたま)から(かぶ)り、 (かお)には(ぎゃく)卵形(たまごがた)のマスクを()けてる。 そのマスクは、 全体(ぜんたい)()(しろ)で、 ()部分(ぶぶん)()(まる)(おお)きくくり()かれ、 (くち)(ほそ)三日月(みかづき)(よこ)にした(かたち)でくり()かれ、 まるで(わら)ってるようだった。 くり()かれた部分(ぶぶん)()(くら)で、 まるで(すべ)ての(ひかり)()()んでるように、 (おれ)には()えた。 デカイてるてる坊主(ぼうず)・・・。 それが(やつ)()(あらわ)すのに、 一番(いちばん)適当(てきとう)言葉(ことば)だと、 (おれ)(おも)った。 「コンバンハ。」 甲高(かんだか)機械的(きかいてき)(こえ)で、 デカイてるてる坊主(ぼうず)(しゃべ)った。 「(なん)だぁ~、コイツ?  ゆるキャラでも目指(めざ)してんのかぁ、お(まえ)?」 (ひろし)挑発(ちょうはつ)するように()いながら、 (やつ)(ほう)近付(ちかづ)いて()った。
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