29人が本棚に入れています
本棚に追加
「この前ナンパした女にさ~。」
広のナンパの自慢話がまた始まった。
「俺は雷神愚のメンバーだって言ったらさ~、
すぐ股開いて犯らせてくれたぜ~。」
俺は広の少し後ろを歩いてる。
「だから徹もチームの名前出せば、
女なんか直ぐに出来るって!」
「俺、そう言うのにチーム出すの嫌いだ。」
「固え~な~、徹、・・・ウワアッ!」
話しながら振り向いた広は、
俺の後ろを見た途端、
何かに驚いたように叫ぶ。
「どした?広。」
「何だ・・・、人間じゃんか。」
俺も後ろを振り返って見た。
何だアレ?
てるてる坊主?
ポンチョの雨合羽を頭から被り、
顔には逆卵形のマスクを付けてる。
そのマスクは、
全体が真っ白で、
目の部分が真ん丸に大きくくり抜かれ、
口は細い三日月を横にした形でくり抜かれ、
まるで笑ってるようだった。
くり抜かれた部分は真っ暗で、
まるで全ての光を吸い込んでるように、
俺には見えた。
デカイてるてる坊主・・・。
それが奴を言い表すのに、
一番適当な言葉だと、
俺は思った。
「コンバンハ。」
甲高い機械的な声で、
デカイてるてる坊主は喋った。
「何だぁ~、コイツ?
ゆるキャラでも目指してんのかぁ、お前?」
広が挑発するように言いながら、
奴の方へ近付いて行った。
最初のコメントを投稿しよう!