プロローグ

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プロローグ

 私には、7つ歳の離れた弟がいる。こいつが、私の悩みの種だ。  弟との出会いは、13年前。私は、小学校に上がったばかりだった。  小さな頃から、私は少し変わった子どもだった。別に、とりたてて変な行動をとるわけでも、変に大人しいわけでもない。しかし、妙に大人びていた。冷めていた、というより冷静だった。怒ったり泣いたりしないわけではないが、他の子に比べて頻度は少なかった。  怒っていると、途中で「この怒っている私の姿って、面白いな」と、思ってしまうのだ。そうすると、途端に怒りがどこかへ行ってしまう。泣いているときも、同じだった。いつも、自分の他にもう一人の自分がいて、そのもう一人の自分が上から自分を見ていた。  そんな感じだから、友達も多くはなかった。しかし、あまり寂しいと感じたことはない。一人で本を読むのが、好きだったからだ。     
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