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私はもう一度、佐々木君の目を見た。 「ただし、条件がある。この条件を守ってくれるなら、私達は付き合うことができる」  交際を承諾しておきながら、後から条件を言い出す相手を、快く思う人はあまりいないだろう。しかし、先に言っておかなければ、私も彼も後悔することになる。面倒な条件を受け入れても、付き合いたいかどうか、彼には決める権利があるのだ。  私は、深く息を吸った。  「連絡は取らない。携帯もパソコンも、使わないで」  佐々木君は一瞬、動きを止めた。私の言葉に、困惑しているようだった。 彼が理解に苦しむだろう、ということは、容易に想像できた。今までも、同じことが何度も、あったからだ。電話やメールが当たり前の時代、男女が連絡を取り合わずに交際をすることは、非常に難しい。それは、私自身も十分、分かっていた。  「私と会う時は学校か、私の家から3駅以上離れた場所にして欲しい」  私は、言葉を続けた。 「理由を、聞いてもいい?」 それは、予想できる質問だった。誰であれ、このような条件を出されたら、疑問に思うのは当然だ。しかし、私は迷っていた。     
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