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「わかった。部活頑張って」
涼子が言ったその時、教室の扉の方から「まりあ……!」とまりあを呼ぶ男子の声がした。
彼はまりあの彼氏の佐々木斗紀(ささき とき)だ。
二人は中学生の頃から付き合っており、まりあと友達になってすぐ紹介された。
まりあと佐々木君の二人の身長は165㎝と同じ。
そのうえ、二人とも濃い顔をしているためなんとなく似て見え、はじめ兄姉みたいだと思った。
「まりあ、佐々木君だよ」
佐々木君の登場はわかっているだろうが、私は一応知らせると、まりあは嬉しそうに微笑んだ。
それからすぐに佐々木君に小さく手を振る。
二人は二年ほど付き合っているようだが、とても仲が良い。
「うん。じゃあ亜子、私は帰るね。涼子行こう」
まりあが彼氏がいるのに涼子を誘うのは、隣の男子校に涼子の彼氏がいるから。
涼子の彼氏は佐々木君と塾が一緒という共通点があり、すぐに四人は仲良くなったらしい。
途中で涼子の彼氏を交え、四人で帰るのがデフォルト化している。
よく学校帰りにダブルデートもしているらしい。
「うん。じゃあ頑張ってね亜子、また明日」
涼子も私に手を振った。
「うん、またね」
私は二人に手を振り、教室から見送ると、鞄を手にし教室を出た。
今日は皆、来ているだろうか。
私は少ない部員を頭に思い浮かべながら、部室へ向かう。
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