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一人になると兄に撫でられていた前髪を整え、私は窓が見える方へ寝返った。
さすがにベッドの中からでは月は見えない。
少しベランダに出てしまおうか考えたが、風邪をこじらせてしまうと思い、諦めた。
明日、先生を探してみようか……
毎日書道のことばかり考えていた私だが、そんなことを思う。驚きだ。
しかし翌日は微熱が残り、念のため休むこととなり先生探しはできなかった。
そのため水曜日、いつもより30分早く家を出た。
母は夜勤でおらず、兄は出勤していたのでそのことは誰にもバレていない。
いつも朝のホームルームに間に合うギリギリの時間に自転車をかっ飛ばしていく私なので、絶対に妙だと思われるはずだ。
気がとても高ぶっている。
彼が絶対に学校にいるのはわかっているので、私は余裕があるにも関わらずいつもと変わらぬ速さでペダルをこぐ。
校門に着き自転車をおりると、朝練で走っている陸上部の生徒とぶつかりそうになったが、しっかり休みをとったあとなので、ちゃんと避けられた。
自転車を自転車置き場に置き、とにかくまず教室に鞄を置いた私は、二日前に倒れた踊り場へ走った。
そこで彼に会えるとは思ってないが、なんとなくだ。
だが、やはり先生はいるはずもなく、私は迷ったのち保健室へ足を進めた。
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