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「あれ、今来たばかりなんですね」
心美は水木先輩を見つめて言ったあと、私を見て表情を緩めた。
私も口元を緩める。
私は3組で彼女は5組とクラスは違うが二人だけの仲間なのですぐに打ち解けた。
それに私たちはなんとなくパッと見が似ているらしい。
入部してはじめの3日間、水木先輩に何度か間違えられた。
心美は150㎝しかない私の身長よりさらに2㎝低く、髪型もセミロングと似ており、二人とも中学生の頃、書道部だったためか色白だ。
顔はさすがに似てないが、二人とも童顔という共通点がある。
「そうなんだよ。真木は今日は休みなんだけど、優子ちゃんはもうすぐ来るはずだよ」
水木先輩が言ったのは三年の真木可織(まき かおり)と二年の大河内優子(おおかわうち ゆうこ)だ。
「真木先輩お休みなんですか?」
「うん。今日は塾の体験に行くって」
「あぁ、そんな時期なんですね」
私は二人の会話を聞きながら、自分の道具を取り出し準備を始める。
部室は畳間だが、私は立って書く方が書きやすいため、机を使う。
その上に半紙や硯箱を置く頃、大河内先輩もやってきた。
今、書道部では六月中旬にある大会に向けての作品を書いているところだ。
私は高校に入って初めてのものなので、気合いが入っていた。
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