カレとの出会い

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私の課題は“初志を貫く”。 皆課題はバラバラだが、私は楷書体で書くのに対し先輩たちは行書体だ。 今までずっと楷書で書いてきた私だが、今回の大会の課題を楷書で書くことと平行して、行書も練習する予定でいる。 ちなみに教えてくれるのは水木先輩だ。 水木先輩は誰よりも長く書道をしてきており、師範の資格を持っている。 私も欲しいと思っているものなので、水木先輩には憧れている。 私の夢は書道教室を開くこと。 小さな教室でいい。自分の教室を持ちたい。 実際、書道家や書道講師になるには師範の資格は必要がない。 しかし、師範の資格の有無は看板のようなものなので、あった方がよい。 テレビに出る書道家も師範を持っていない人も実際いるが、そのような人には特有のパフォーマンス能力が備わっているため、人を惹き付けることができるが、私が夢見ている書道教室を持つには師範の資格が必要であると感じている。 すると早速水木先輩が私の隣に来た。 「亜子ちゃん、今日ははじめに行書の練習からしようか」 「はい。よろしくお願いします」 私ははりきって大きな声で頭を下げた。
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