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「……ああ、だな。今はロッドの事は忘れて任務を再開しよう」
ルウの言葉に、そう呟いた。
「そうだネオ。今はルウの言う事を聞いておこう。それに、後でトルネが話があるってさ」
リックは、白けたこの場の雰囲気を変えるべく、勢いよくネオの背中を小突き、企んだ笑みを浮かべたまま最後は小さな声で話した。ルウだけは呆れた表情を浮かべていたが、ネオの表情は容易く明るいものと変わった。
「お、おう。ト、トルネが!?もしかして、告白だったり……いや、まさかな。おーい、お前ら。さっさとあんな奴ら片付けちまおうぜ」
トルネは、女性とは無縁のネオと唯一仲良くしてくれる同い歳の女性だ。親は金持ちだが、自分は自由に生きたいとあらゆる国の権利を放棄している。つまり、道端の猫と同じなのだ。これも今や問題になっている自由主義といった民である。
ネオとの共通点はないものの、反ロボット連盟に興味を持っている事で、お互い今の今まで仲良くしてきた。トルネのことを考えると、柄にもなく顔が赤くなる。
ネオは満更でもなく意気揚々と屈伸をし終えると、二人を置いて路地裏に向かって走って行った。調子を取り戻したのは良いことだったが、企みの内容を理解したルウは、鋭く残った相手を睨みつける。
「そう怖い顔しないでくれよ。こうしないと機嫌治らないだろうしさ。さあ、僕達もリーダーに続いて行こう」
「全く、世話が焼けるな」
裾の長いコートを翻したルウの長く一つに結わいた髪は同じように空気に揺れ、身長よりも長い光源刀を背から抜き取り路地裏の先の、未だ荒ぶる都市へ目を向けた。
リックは頭部よりも、大きなサイズの鉄のヘルメットの目前部分を指で持ち上げ、三白眼をルウと同じ方向へ向ける。戦闘モードに突入し、二人共リーダーの後を追おうと勢いよく地面を蹴り上げた。
「こちら、ネオ。前方に暴走するロボットを一体発見。攻撃を仕掛ける」
路地裏を出ると、見る限り途方もない建物が続く近代都市が広がる。そこに響くのは、機械音と人々の悲鳴、爆発音、それから少年達が踏み鳴らす未来への希望の足音。
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