乾いた心

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息苦しさが消える。 私は大きく息を吸い、吐いた。 「大丈夫?」 「あ、はい。ありがとうございました」   亮介さんは気を利かせてくれたのだ。 それでも長嶺さんには申し訳ないため、心で“ごめんなさい”と伝えた。 「だいぶ長嶺酔ってるみたいだな?」 亮介さんは首を横に振りながら、苦笑する。 私は長嶺さんに視線を向けた。 長嶺さんは係長に「また来たのか?」と言われていた。 「呼ばれたから来たんですよ」と返し、頬を膨らませる長嶺さんに、係長は「まぁ飲めよ」と言って隣に座らせたため、亮介さんを嘘つき扱いされずにすんでホッとする。 「えぇ」 「俺と佐々原さんがいい感じ、に見えたって?」 亮介さんが悪戯に笑う。 私はどういうつもりで彼が、話を逆戻ししたのかわからず、恥ずかしくなった。 「長嶺さん、酔いすぎですよね……」 私の顔は真っ赤なはず。 それを誤魔化すように、グラスに手を伸ばす。 ビールを煽りたい気分だ。 「でも俺は嬉しかったよ」 「え!」 驚き、亮介さんを見つめると、彼の瞳の表情が色っぽく光っているように感じた。 「佐々原さんは?」 さらに亮介さんの瞳は細まり、私を誘うようなものに変わる。 身体がぞくぞくする。 「わ、私も……光栄です」 “嬉しい”とは言えなかったが、好意丸出しだ。 すると亮介さんは私の耳に唇を近づけた。 「あとで、二人きりで二次会しようか?」 私の胸の鼓動は跳ねあがった。
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