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「まだ三ヶ月だもんね」
亮介さんが緩やかに口元を緩めた。
「はい……」
四月は丸々研修で本社にいたため、立川支店に配属されてからは三ヶ月目になる。
「勉強が大変でしょ?」
「はい、想像以上でした……」
銀行の一般職というものは想像以上に大変だった。
ほぼ事務作業だけだと思っていた私だが、保険やカードローンや個人年金など、ノルマが当てられ、窓口で勧誘しなければならない。
そのためには、あまり総合職と変わらない、證券外務員や生保、損害保険の募集人資格などの資格や検定をとるように指示されるうえ、それらの資格を使い保険を販売するために、FP等の知識も必要になる。
そのせいで、私の土日は勉強でつぶれている。
亮介さんは「俺もそう思ってたよ」と言って、苦笑した。
「でも佐々原さん、いつもニコニコしてえらいよね」
「え、そんな……」
「まだ間もないのに、ちゃんと笑顔で接客してて感心する」
そんなことを言われると期待してしまう。
まるで亮介さんに意識されているような錯覚を覚える。
一般職の私だけれど、まだテラー業務を任されているわけではない。
銀行が開いている15時まではバッグで先輩に仕事を習い、パートさんが主に行うロビーでのお客様の案内係りを行うこともある。
亮介さんはそんな私を見ていてくれたのかもしれない、と思うと落ち着かず、背筋をピンと伸ばした。
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