乾いた心

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「そんなことないですよ……」 照れ臭くて声が上擦る。 「ううん、本当にそう思うよ。佐々原さん、接客業のアルバイトでもしてたの?」 「えぇ。大学生の時、ファミレスでアルバイトしていました……」 ほぼ四年間、ファミレスのホールスタッフとしてアルバイトをしていた。 最後の方は就活、卒論作成と忙しくなり、ほぼ行けなかったけれど。 「へぇ、なんか似合いそう」 「えぇ……」 「佐々原さんのウェイトレス姿可愛かっただろうね」 亮介さんの瞳が緩まる。 「……池上さん」 たまらず震えた声で彼を呼んでしまった。 すると、答えの代わりという感じに、彼の手が私の膝に置いてある左手の上に重なった。 驚き身体がびくつく。 思わず、下に視線を向け、現実なのか確かめてしまう。 私の手の上にはたしかに亮介さんの大きくてごつごつした手が乗っている。 熱い…… 亮介さんは私の左手を優しく掴んだ。さらに熱くなる。 「あ、あの……」 彼の重なる手の意味が知りたい。 「ん?」 「い、いえ……」 だが聞けない。
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