午後1時、いつもの場所で-2

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あぁこれはかなり気にしている……。 准君と結婚してもうすぐ二年。 彼の性格はよくわかっている。 知り合った当初と変わらず、真面目で優しく気遣い上手。 家ではよく“優先順位は寿々”と言って、私を甘やかせてくれる。 料理は下手だけど整理整頓は上手で家事には積極的。 探すと両手でおさまらないくらいいい部分がある彼だけれど、たぶん私よりちょっぴり嫉妬深い。 “好きだ”と毎日愛情を伝えてくれる彼なので、やきもちも彼の愛情表現の一部なのだろうけれど。 「指輪に気がつかなかったのかな」 准君がむっすりとした顔で左手を持ち上げた。 「……大切にずっと着けているけれど……」 指輪は准君の母親に会った日の後、すぐに二人で選んで購入した。 それはもう二年ほど着けているので、指に馴染み、嵌まってないほうが気持ちが悪く感じるくらい大切なもの。 「うん……」 准君が少しだけホッと息を吐く。 「結婚してからの寿々、ますます綺麗だからな、困る」 「……そんな」 あきらかに准君は褒めているつもりではない。 けれど、私にとっては褒め言葉でここが外なのも忘れ、喜んでしまう。 支店から職員が出てきてもおかしくない状況なのに……。 「心配だよ」 「……准君」 「困ったな」 准君は今度は悩ましげに息を吐いた。
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