午後1時、いつもの場所で-2

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私の気持ちは彼にしかないのに、心配しすぎ。 「私は准君だけが好きだから……」 今度は彼が照れる番だろうか。 准君の腕に手を絡ませつつ、下から彼を覗く。 「相変わらず、仲がいいな」 しかし、彼の表情を窺うより先に後ろから声がかかった。 私は手をパッと離す。 「お義父さん……!」 二年前は支店長だった義父だった。 「父さん、どうして?」 准君は恥ずかしくないのだろうか。平坦とした口調で尋ねるが、私は「こんばんは。お疲れさまです」と焦る。 「お疲れさま」と准君と似た笑顔を見せた義父は「里英さんとデートだよ」と言った。 義母は支店から一キロほど離れた場所にある和菓子屋でパートをしているので、迎えに行くところなのだろう。 義父こそ義母と仲がいい。 何度か外で食事をしたことがあるが、毎回義母が義父の腕をぎゅっと掴んで登場する。 義母は赤坂さんに少し似ており、初めましての時は正直赤坂さんが二人並んでいるようで構えてしまった。 だがすぐにいい人だと知った。 そして忘れてはいけないのが准君の母親だが、彼女はとても優しい人だった。 時々准君の母親とは二人きりで買い物をするくらい仲よくしてもらっている。大好きな人だ。 「そう、父さんこそ相変わらず仲いいね」 「まぁな」 義父は照れ臭そうに鼻の下を手で擦る。
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