午後1時、いつもの場所で-2

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ちなみにだが、橋野さんは准君と顔を合わせにくくなったのだろう。事務から離れ、別の仕事をしているらしい。 彼女とは二年間、一度も会っていない。   そして亮介さんは自分でも言っていた通り、地方にとばされた。 噂では結婚するようだと聞いたが、今の私にはどうでもよい話だ。 「今度は四人でデートしような」 「学生じゃないんだから……」 呆れる准君に「ダブルデートって響き、憧れだったんだよな」と義父が笑う。 二年前、考えられなかった幸せが今はある。 義父は「だからぜひ次はダブルデートをしよう」と言い、「じゃあな」と私の肩を叩いて去っていく。 「父さん浮かれてるな」 「なんだか可愛らしい……」 「おじさんだよ?」 「でも准君に似ていてカッコいいから、おじさんっぽくない」 それに准君が照れたように頬を掻いた。 「帰ろうか」 「うん」 しっかりと手を繋ぎ、歩き始める。 すっかり雰囲気はいい。 ホッとする。 だから家に着く頃にはすっかりデートに誘われたことは頭から抜けていた。
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