午後1時、いつもの場所で-2

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鍵を開け、部屋に入ると突然准君に肩を掴まれた。 “え?”と瞳を瞬くとすぐに、彼の“く”の時に曲がった腕の内側に首が捕らわれる。 「准く……ん!」 苦しくはないけれど、驚く。 落ちてきたのは熱い口づけ。 准君のキスは普段から優しく穏やかだけれど、時に激しいものに変わる。 その理由はよく知っている。 「これだけじゃ、既婚者だって伝わらないみたいだね」 左手を持ち上げられ、薬指をいやらしくなぞられた。 そこにはお揃いのものが光っている。今は彼の指が上下して見えないけれど。 「……准君」 「ここを全部赤くしたら伝わるかな」 准君が口の端を意地悪に上げ、私の首筋をなぞる。 その手の動きに私の身体は震える。 准君が意地悪になるのは嫉妬心を感じている時。 やきもちやきな彼は、ストレートに嫉妬心を表すタイプ。 私はすっかり忘れていたけれど、彼は違ったみたい。 「……そんなの、無理だよ」 首を横に振ると「やってみる?」と首に唇を近づけた。 「や、ダメ……!」と力を入れる私に、彼は意地悪な口調とは反対に優しい口づけを落とした。
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