午後1時、いつもの場所で-2

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触れる力は穏やか。 それなのに、確実に私の弱いポイントをついてくる。 「准君……」と身体をよじると、まるで動かないでというようにがっちり腰を捕まえられた。 今度は彼の唇が膨らみに触れるくらいの距離にくる。 「寿々をたっぷり味わわせて」 「……たっぷりって、やっぱりエッチ」 「寿々のせいだよ」 その責められ方も悪くない。 彼の言葉通り私は彼にたっぷり攻められたのだった。     ーーひと月後。 私はひばり銀行を寿退職して、准君の妻になった。 支店の送別会には先に退職した赤坂さんも花束を抱えて駆けつけてくれた。 山口さんは“もう戻って来なくていいわよ”と言いながらも、瞳を潤ませながら有名なブランドのホーロー鍋をプレゼントしてくれた。 異動して来た時には考えられないことだ。 今でも少し苦手だが、最後がよくてよかった。 馬渕さんとはお互いに名前で呼び合う仲になり、結婚祝いを個人的にしてもらったほど。 他の社員からは“結婚おめでとう。今までお疲れさま。これからも頑張れ”とねぎらいと祝福のメッセージをもらった。 異動してすぐ辞めなくてよかった。 二年前に辞めなくて、本当によかった。 私はそれを強く思い、ひばり銀行を退職した。
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