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「寿々、ちょっと寄り道したいんだけどいい?」
明日は休日。今夜は気にすることなく、時間を使える。
それに今、気持ちは高ぶっており寄り道は大歓迎という気分だったからコクりと頭を縦に振った。
どこ行くのだろうと思っていた私だが、連れていかれた場所はnaturaだった。
時刻は21時過ぎ。まだ開いている時間。
益田君のことがあってから、naturaに夜に来るのは避けていたので久しぶり。
店に入ると沙映子がにこやかに迎えてくれた。
私と彼は“いつもの場所”に座る。
「ご注文は何にしますか?」という沙映子に、私はカフェラテ、准君はアイスティを注文した。
准君のアイスティが先に届くと彼が「よかったら半分飲まれません?」と、口の端をイタズラに上げた。
「え?」
「飲みきれそうになかったので、よかったらどうですか?」
「え、あ……」
懐かしいやりとり。
「いいんですか?」
「えぇ、飲みきれそうにないので」
私もそれに乗ってみる。
すると准君が“ははっ”と笑った。
私もつられる。
「はじめてここで寿々と会った時、すごく緊張してた」
「……そうなんですか?」
「うん」
彼がふっと瞳を細めた。
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