午後1時、いつもの場所で-2

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「改めて言わせて」 “何を?”と聞き返さなくたってわかる。 姿勢をピンと正し彼の言葉を待つ。 「嘘はもう絶対に吐かない。 僕はこれからも寿々だけを愛していく」 彼が私の手を優しくとった。 「だから、僕と結婚してください」 「……准君」 私からプロポーズしたのだから、答えは“はい”に決まっている。 しかし、感動から首を縦に振っただけ。 「返事は?」 彼が首を小さく傾ける。 私から彼の手をギュッと掴んで「はい」と今度はきちんと答えた。 「ありがとう。絶対に幸せになろう」 「はい」 彼となら幸せになれる。そんな気しかしない。 涙と同時に笑顔が溢れた。 彼が差し出したハンカチを目元に当て涙を拭っていると「おめでとうございます」と沙映子が後ろから控えめに声をかけた。 「ありがとうございます」 「すごく、お似合いです」 「沙映子……」 沙映子が「よかったね」と微笑む。   「寿々をよろしくお願いしますね」 「はい。絶対に大切にします」 准君は約束するように言ってくれた。
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