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まるで視界もピンク色。
私のプロポーズを受けてくれた時も嬉しかったけれど、やっぱり私も女だ。
彼から言われたことに、全身が“幸せ”と喜んでいる。
「寿々今日はありがとう」
「え?私こそ……」
頭にはプロポーズをされたことしかない。
「父に会ってくれて嬉しかった」
そこで、浮かれすぎだとハッとする。
「そんな……。私も支店長……ううん准君のお父様に会えてよかったです」
もう支店長ではない。准君の父親だ。
私が言い方を変えたのに彼がまるで嬉しいというように表情を和らげた。
「ありがとう」
首を大きく横に振る。
「今度は赤坂さんと赤坂さんのお母様に会わせてくださいね」
「ありがとう。緊張するよね?」
准君が瞳を細くした。
「少し……。でも大丈夫です」
赤坂さんと私の関係は少しも変わらない。
職場では先輩と後輩の関係だ。
赤坂さんは時々フォローに回ってくれることもあるが、相変わらずクール。職場でそう話すこともない。
職場の人達はまさか私と彼女が、親族になるなんて思いもしないはず。
山口さんは相変わらず私を嫌っているが、もし私と赤坂さんとの関係を知ったならどう思うだろうと少し思う。
きっと赤坂さんの結婚式で知ることになると思うので、もう少し先の話。
「赤坂さんいい人ですから」
「……うん、ありがとう」
准君がホッとしたように笑った。
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