午後1時、いつもの場所で-2

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「准君のお母様にお会いするのも楽しみにしていますね」 「ありがとう。母も寿々に会うのをすごく楽しみにしてるから、嬉しいよ。母に伝えておくよ」 「はい」 准君の母親は私のまったく知らない人。 支店長に会うのとはまた違う感覚。気に入られるようにしっかりしようと密かに意気込む。 「新居や式場も少しずつ決めたいね」 「えぇ、新居?」 「え、一緒に住みたくない?」 准君が少し寂しそうな顔を見せる。 そういう意味ではない。 「ううん、住みたい。ただ、准君のお家でいいのにって思ったので。お互いの職場も近いですし」 准君は「うーん」と悩んでみせる。 「あぁ、でも」 「ん?」 「私か赤坂さんのどちらかは異動になるかもしれません」 ひばり銀行では同じ場所に身内同士は働けないルールがある。 私と赤坂さんの間柄だとどうなのだろう。 きっと離されそう。 異動させられるとすれば私だろうか。 また一から人間関係を築かなければならないのだろう。 少し、不安。 「寿々は結婚しても働きたい?」
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