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嫌なことには際限がないのだと、旭は思った。
学を襲ってしまってからの日々は、旭にとって地獄だった。学へ連絡を取ろうかどうか迷っている内に夏休みは終わり、2学期になった。学は、あからさまに旭を避けていた。
あれだけ学から遠ざかろうとしていたのに、いざ相手からされるとショックでしかなかった。
学をずっと傷つけて、心配をさせていたのだと、今更になって思い知った。
謝りたくても、声もかけられない状態だった。離れようと思っていたのだから、望んだ結果になったのかもしれないと思おうとしたが、嫌われたまま離れるのは嫌だった。
冬休みに入る少し前になって、ようやく旭は学へラインを送った。
『がっくん、夏休みの時はごめんなさい。すぐに謝れなくてごめんなさい。からかったり、嫌なことをしたかったわけじゃないんだ。本当にごめんなさい』
少しして既読になった。けれど、返事はなかった。
それからも、何度かラインを送った。自分のコメントだけが増えていく画面を見て、まるでストーカーのようだと思って情けなくなったが、それでも、謝りたかった。そして、冬休みに入って2日目の夜、学からの返事が来た。
『今から公園に来れるか?』
道場の近くにある公園のことだった。直接会うことを学から言われるとは思っておらず、一瞬旭は躊躇ったが、すぐに行くと返事をした。
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