第二ボタンと

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 学の受験勉強も本格的になり、徐々に会う時間が少なくなっていった。学からも『暫く勉強に専念したい』と告げられた。昼休みも一緒に過ごしたいのを我慢して、旭もなるべく学の勉強の邪魔にならないようにした。  3学期になって、学の受験も目前の昼休み。クラスの男子2人と学食で食事をしていた時だった。 「高橋さ、最近、小野山先輩のとこ行かねぇな?」 「そりゃ、ピリピリしている中には、行きたくないよなぁ」 会いたいのを我慢している自分の気持ちなど関係なしに言われて、旭はムスッとした顔で答えず、カレーライスを掻き込む。 「俺たちも来年はあんな感じになるんかぁ~。すっげぇやだ」 「そういえば、小野山先輩、どこ行くんだ?やっぱりS大学?この辺で空手部が強いのはあそこだろ?」 中学まで同じ空手部だった山本が、ラーメンを啜りながら問いかけた。すると、隣でスタミナ丼とミニうどんを食べる、現役の空手部である飯田が答えた。 「いや、第一はC大学だってよ。この前、言ってた」 その言葉を聞いた瞬間、旭はスプーンを落とした。驚いて固まる。 「え?知らなかったのか?」 「…聞いてない」 「マジで?仲良いから、てっきり聞いてんだと思ってたわ」 知らなかった。 C大学は都内にあり、地方である自分たちのいる県からは、通っていくことは難しい。つまり、その大学が受かれば、学は必然的に実家を出ることになる。 大学へ行ってしまっても、学校以外では会えると言っていたのに。そんなに遠くへ行ってしまったら、すぐには会えなくなってしまう。
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