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怪しさを感じるばかり。
男性ばかりだったが結婚式には准君の学友が来てくれていた。
彼女と何でもない仲であるなら、彼女の耳に結婚話は入るはずだ。
何かあるから気を遣い知らせなかったのでは、と考えてしまう。
“付き合ってたの?”
そう聞きたいけれど、彼女の前で聞けない。
私の心は大荒れ。
早くこの場を立ち去りたい。
それから、准君に尋ねたい。
「うん、もう二年になるよ。ねぇ、寿々?」
准君が優しく私を見つめる。
「う、うん」
それなのに私はにこやかに笑えない。
きっとひきつり顔。
「二年?わー」
「うん」
「知らなかった」
一度彼女と視線がぶつかる。
私はすぐに逸らしてしまった。
「全然二人連絡取り合ってなかったのか?」
兄が私が聞きたいことをさらりと聞いた。
彼女は「えぇ」と兄に言ってから「高校までだよね?よく遊んでたの」と首を傾げた。
遊んでた、という言葉に私は大きく反応してしまう。
准君は小さく笑うと「彼女とは学部もゼミも違ったので、大学からは会うこともそうなくて」と説明した。
“別れたから?”
嫌な想像が膨らむ。
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