好きになった方の負け

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彼に私はどう見えているのだろう。 今はそんなの構えない。 「そうだよね」 「うん……」 さらに唇を萎めると准君が「佳奈……彼女とは友人だよ」と説明した。 彼女と呼び方を変換する辺りが彼らしい。 「それだけ?」 「うん」 「すごく親しそうに感じたけど……」 グレーのモヤモヤが心をいっぱいに包む。 「小学校と中学校では三年間同じクラスで、高校も二年間同じだったから仲は悪くはないけれどそれだけ。呼び捨てなのは小学校の頃から同じクラスに“紺野”が二人いたからだよ」 「……そうなの?」 「うん」 「そっか……。ごめんね、子供みたいに怒って説明までさせて……」 正直もう少し納得してない部分はあるけれど、申し訳ない気持ちのほうが大きくなる。 「納得した?」 「……うーん」 准君が私の頭をくしゃっと撫でて「とりあえず帰ろうか」と言った。 彼の袖をぎゅっと掴む。 「もっとしつこく聞いたら怒る?」 准君は“ふっ”と笑い「怒るわけないよ」と答えた。
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