好きになった方の負け

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「……もっと言って」 不安をゼロにしてほしい。 私の甘えたい心はマックスに膨らんでおり、彼の告白を“もっと”とねだってしまう。 准君が小さく笑うから、熱い息がかかりくすぐったい。         「好きだよ」 甘く囁く彼に「……准君、大好き」としつこく伝え背伸びをし、首に両腕を巻きつけより、密着させる。それは私のキスをねだるポーズ。 彼はそれをじゅうぶんに知っている。 一度キスを落としたあと、私を横抱きにした。 背伸びしていた爪先が楽になる。 准君は私を抱いたままソファまで進み、座った。 二階に寝室があるけれど、近い場所を選んだことがまるで待ちきれないといっているようで嬉しい。 変わらずギュッと腕を首元に巻き付かせる。 准君は私の頬を撫で「可愛い……寿々」と囁いた。 彼の触れ具合はとても優しく、大切にされているのだと感じる。 「准君」と瞳を細めると、はじめ優しいキスが唇に落ちた。 それは次第に激しいものに変わっていく。 しっかり押し付けられた唇の間から熱い舌が入りこむみ、唇を吸われ、舌を絡め取られる。 准君からしかけられるキスは、優しいものも激しいものも全部好き。 私も夢中で応える。 幾度も口づけを繰り返され、身体の力は抜けていく。腕も緩まり、今は彼の肩にだらしなく置いているだけ。 准君の唇は額、鼻先、頬へと移動する。首元へ口づけられると、私は大きく甘い声を漏らした。 「寿々、首弱いよね」 「だって、くすぐったい」 身体をよじると准君がいたずらに首に顔を埋めた。
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