好きになった方の負け

8/23

112人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
正直、あまり頭には残ってないけれど。 「もっといいところはあると思ったよ」 「本当?」 「うん」 私に気を遣ってくれているのは丸わかり。 准君の腕にギュッとしがみついた。 「……私、嫉妬しちゃった」 気づかれていないはずはないけれど、告白。 このまま買い物なんてできない。 「うん」 准君が優しく答えた。   「准君モテるんだね」 「それはないよ」 「……だって、さっきの人……」 自然に下唇を噛み締めてしまう。 「下品だったね」 「……え?」 准君の口から“下品”と出るなんて意外。 「僕はあぁいうタイプは苦手」 男性はあぁいうタイプが好きなのでは? 意外な言葉に驚きつつ、安心している自分がいる。 「本当?」 「本当。寿々は僕の気持ちが寿々以外に向くと思ってる?」 准君が足をとめ、私を覗きこんだ。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加