112人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「准君の気持ちはわかっているけれど……」
「うん」
「さっきみたいなことがあると、心配」
唇を萎めると「心配することないのに」と笑われた。
「心配する……」
あまりこれまで気にしなかったけれど、職場でも色仕掛け的なものはあるのだろうか。
左指の指輪は効果ある?
税理士の彼の仕事は、銀行のようにわかりやすいものでなく、どんなクライアントと付き合っているのかわかりにくい。
なんだか心配になってきた。
橋野さんのことだって、あったじゃない……。
彼がモテる人だっていうことを忘れていたことにハッとする。
「寿々」
「あ、うん」
「今度は別の不動産屋に行こう」
「うん……ありがとう」
当分新居探しはしたくない。
それくらい先ほどのことは私の心をじくじくと嫌に刺している。
最初のコメントを投稿しよう!