好きになった方の負け-2

10/23

139人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「寿々が可愛いから」 答えになっていない。 私の友人や兄が来たときは彼は紳士モードで出迎えてくれるのに……。 だから戸惑うじゃない。 「……恥ずかしかったよ」 上目遣いに准君を見つめると彼は「ごめん。僕の心が狭かったね」と頼りない表情を見せた。 「准君は心が狭くなんてないよ」 「……嫉妬深いってことだよ」 「……なるほど」 それには否定できずにいると、彼は「なるほど?」と苦笑する。 「柿栖さんに嫉妬したの?」 「……少しね」 「……どうして?准君と全然タイプ違うのに」 「タイプが違うからだよ……」 「……え?」 「昔はああいうタイプが……いやなんでもない」 彼はやめてしまうと「もうおしまいにしよう」と言って、耳元で「さっきの続きしよう」と耳元で囁いた。 柿栖さんが来る前の私たちを思い出し、小さく首を縦に振る。 「寿々顔赤いよ」 「だって思い出しちゃったんだもん……」 准君は「可愛い」と言って、私を寝室へ誘った。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加