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「幸せ……」
准君が噛み締めるように言ったのが、私の心の声と重なった。
「私の台詞だよ」
准君は嬉しそうに笑い、私の額に彼の額をくっつけた。
「好きだよ、寿々」
「……私の方が好きだよ絶対」
「いや、僕」
よくする二人のやりとりに笑い合うと彼が「寿々になら何をされても許してしまいそうだ」と言った。
「えぇ……」
すごいことを言うと、苦笑する。
「何をされてもって……私が突然50万円する冷蔵庫を買っちゃったら?」
彼をイタズラに見つめる。
「“欲しかったの?”って許すよ」
「えぇ……」
「じゃあ300万くらいの車を買っちゃったら?」
「寿々、運転できるの?」
私は「できない」と首を振り、「もしも」と続けた。
彼が笑い「それでも許すな」と言うので、「じゃあじゃあ一千万のダイヤモンド」ともしもの話を大きくした。
「ダイヤモンド欲しいの?」
「ううん、例え。欲しくないよ!」
本当に買ってきそうなので大きく首を横に振ると「本当に欲しいって言われたら買っちゃうかな」と笑った。
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