好きになった方の負け-2

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「幸せ……」 准君が噛み締めるように言ったのが、私の心の声と重なった。 「私の台詞だよ」 准君は嬉しそうに笑い、私の額に彼の額をくっつけた。  「好きだよ、寿々」 「……私の方が好きだよ絶対」 「いや、僕」 よくする二人のやりとりに笑い合うと彼が「寿々になら何をされても許してしまいそうだ」と言った。 「えぇ……」 すごいことを言うと、苦笑する。 「何をされてもって……私が突然50万円する冷蔵庫を買っちゃったら?」 彼をイタズラに見つめる。 「“欲しかったの?”って許すよ」 「えぇ……」 「じゃあ300万くらいの車を買っちゃったら?」 「寿々、運転できるの?」 私は「できない」と首を振り、「もしも」と続けた。 彼が笑い「それでも許すな」と言うので、「じゃあじゃあ一千万のダイヤモンド」ともしもの話を大きくした。 「ダイヤモンド欲しいの?」 「ううん、例え。欲しくないよ!」 本当に買ってきそうなので大きく首を横に振ると「本当に欲しいって言われたら買っちゃうかな」と笑った。
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